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平成28年版の障害者白書によると、区分ごとの日本の障害者数は、

身体障害者393万人、知的障害者74万人、精神障害者392万人です。

ここでいう障害者とは、障害者手帳を取得し、国や自治体から障害者と見なされた方の総数です。

この様に人数を比較すると、知的障害者は、他の障害と比べて数が少ない様に見えます。

しかし、この知的障害については、

本当は知的障害であるのに、親の意向で手帳を取得していない方や、

そもそも自身が知的障害と気付かずに大人になって生活をしている方が非常に多いようです。

また、障害制度を知らず、社会での生きにくさに苦しんでいる方も多くいらっしゃるようです。

そこで、本日は、知的障害者が取得できる、療養手帳について、申請方法や、取得のメリットなどを記述します。

1 療育手帳とは

療育手帳とは、知的障害者が生活を行う中で必要なサービスを受けるために必要な手帳で、知的障害者に対して、一貫した障害サービスや、相談援助を受けやすくするように各自治体が発行するものです。

自治体により、呼び方はさまざまで、

東京都や横浜市では「愛の手帳」

埼玉県では「みどりの手帳」

青森県や名古屋市では「愛護手帳」

などと、呼ばれています。

身体障害者手帳や、精神障害者保健福祉手帳とは違い、なぜ呼ばれ方が自治体によって様々かと言うと、国がガイドラインにより、知的障害者の行政サービスについては、各自治体ごとに決めなさいという通知を行ったからです。

このことにより、地域の実情の違いに応じて、各自治体が独自のサービスや体制をとり、柔軟に知的障害者支援することが可能になりました。

2 知的障害者が手帳を申請する場所と判断基準

知的障害の申請を行う際に、注意が必要なことは、申請の前に、まずは障害の判定が必要であることです。判定については自治体ごとに実施場所が違うので、まずは役所の障害を取り扱う課に相談を行いましょう。

知的障害であるかどうかの判断基準は、次の2つの指標により測られ、総合的に決定されます。

①知的機能の障害

知的機能の障害は、標準化された知能検査により測定します。これにより、言語性IQと、動作性IQという数値を測定し、その測定値が概ね70以下の方が知的障害であると判断されます。

②生活能力の判定

日常生活能力とされる、自立機能、運動機能、意思交換、探索操作、移動、生活文化、職業等を測定します。

この2つの数値を総合的に判断し、最重度知的障害、重度知的障害、中度知的障害、軽度知的障害という4つの区分に分けられ、等級が付けられます。

3 等級ごとの知的障害の特徴

最重度知的障害は、知能指数が20以下で、多くの方が寝たきりであり、着替え、排泄、入浴、食事の介護が必要です。意思の疎通が困難な方が非常に多く、施設に入所し生活される方も多いです。

重度知的障害は、知能指数が20-34程度で、意思の疎通は一部可能であるが、理解力、判断力に乏しく、在宅の方もいらっしゃいますが、奇声をあげたり、突発的で無思慮な行動が多く、親の援助が無いと生活は難しい方が多いです。生活能力は、着替えや入浴、食事などに一部または全部の介助が必要な場合が多いです。

中度知的障害者は、知能指数が36-50程度で、意思の疎通は一部可能です。趣味嗜好の偏りが大きく、こだわりが強い方が多い様に思われます。在宅の方が多く、生活については一部についてご自身でできる方が多く、中には簡単な料理が可能な方もいらっしゃいます。

軽度知的障害者は、知能指数が50-69程度で、理論上は知的障害者の8割がこの部類に属すと言われています。意思の疎通は可能で、話ぶりからは知的障害と思えない方も多数いらっしゃいます。読み書きも可能な方が多く、日常生活も、多くは自身で可能ですが、一部見守りが必要です。お金の勘定ができず、買い物だけはヘルパーに任せる方が多い印象です。

軽度知的障害については、日常生活に問題が無い方も多いことから、ご自身で障害と気付かずに、障害の申請をすることなく生活をされる方も非常に多くいらっしゃいます。しかし、知能指数の低さから、社会に出た時に、会社での仕事に適応することが難しく、苦悩されている方が非常に多くいらっしゃいます。

判定を受けた障害の区分により受けられるサービス等が異なります。多くの自治体では、

最重度障害者、重度障害者=重度(A)

中度障害者、軽度障害者=軽度(B)

と分けられているようです。しかし、東京都等では、愛の手帳1度~4度という4つの区分に分けており、自治体ごとに区分の分け方が異なることに注意が必要です。

4 療育手帳取得の11のメリット

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知的障害者の手帳を取得すると非常に多くのメリットがありますので羅列します。

①自治体ごとの障害サービスが受けられる

障害のサービスは自治体により様々で、またご自身の障害の等級によっても受けられるサービスに違いがあります。具体的には、ヘルパーによる掃除や料理、買い物などの家事援助や、通院の付き添い、散歩の付き添い、薬の管理等です。

②税法上の優遇

所得税や住民税、相続税について障害者控除の適用があります。また、自動車税、軽自動車税、自動車取得税の減免が受けられます。さらに預貯金が非課税扱いになるなどの優遇を受けることができます。

③障害者手当が受けられる

以下の3つの手当については国の制度で支給される手当であるため、要件を満たす方はどこの地域にお住まいでも受給が可能です。

・特別障害者手当・・・手当月額26,830円

・特別児童扶養手当・・・手当月額 1級51,500円、2級34,300円

・障害児福祉手当・・・手当月額14,600円

また、この3つの手当以外に、都道府県や市町村独自の手当がある場合は、各自治体から手当が支給されます。

④障害者年金が受けられる

障害の状態によっては障害年金が受給可能です。金額は、等級によって違います。

国民障害年金1級・・・975,125円(月額81,260円

国民障害年金2級・・・780,100円(月額65,008円

また、会社勤めの場合等は、厚生障害年金の支給が受けられます。

⑤交通面での優遇

電車、バス、タクシー、新幹線、飛行機などの割引が受けられます。

割引率は各会社によって異なるので、気になる場合は問い合わせを行いましょう。

⑥生活保護での優遇

障害をお持ちで生活保護を受給した場合、障害者加算という加算が付くため、健常者よりも毎月の保護費が多く支給されます。

障害加算の金額については、お住まいの地域や、障害の度合いによって異なりますが、概ね1万5千円から2万6千円程度です。

詳しくは以下の記事も参考にしてください。

>>障害者が生活保護を受ける場合の条件と優遇措置まとめ

⑦保育園へ優先的に入園できる

待機児童で揺れる昨今ですが、障害児が保育園へ入園する場合、他の方よりもポイントが加算されるため、入園がしやすくなります。

⑧雇用面でも障害者採用を受けられる

雇用面での優遇も非常に大きいところです。政府は、障害者雇用対策として、企業に対し、就労者の2%に相当する人数を、障害者雇用することを義務付けています。

例えば、従業員が5000人の大企業の場合、100人の障害者を雇いなさいということです。

障害者採用の強みは、ご自身の体調に合わせて仕事面での配慮がある点です。また、健常者ではなかなか入りにくい憧れの大企業にも入社できる可能性が高まると言う点も強みでしょう。

⑨NHKの受信料が免除される

NHKの受信料は、衛生契約をした場合、月額で2280円ですが、こちらの受信料が免除となります。免除には手続きが必要となりますので、申請を経て免除となります。詳しくは役所の障害の部署に相談してみると、申請書をもらえる自治体もありますので相談しましょう。

⑩各種レジャー施設での割引が受けられる

日本全国にある遊園地や水族館、動物園、美術館、博物館などさまざまなレジャー施設で割引などの優遇が受けられます。

詳しくは以下の3つの記事に特筆しましたので、参考にしてください。

>>障害者手帳で割引になるテーマパーク比較/ディズニーやUSJをお得に楽しもう

>>障害者手帳で割引になるテーマパークお得度ランキング(東京編)

>>障害者手帳の割引額ランキング!関西のテーマパーク トップ8

 

5 1つのデメリット

デメリットは、たった一つです。

ご自身が障害者であるという看板を背負うことで、心理的に気負ってしまう方が非常に多いようです。特に、軽度知的障害者の場合、今まで普通に日常を過ごされていた方も多いです。そんな中、障害と判定されることで、自分は人とは違うと思われる方も中にはいらっしゃいます。そのようなことから、あえて親が、自分の子が障害を持っていると気づいていながら、障害者としての申請を行わなかったり、ためらったりする方も多いようです。

しかし、ここで大事なことは、将来の事を考えた時に、療育手帳を取得することで、上にあげたようなたくさんのメリットがあります

障害のある子どもが大人になった時、障害者手当や、障害年金を受給できることは、経済面で非常に強みになります。

ですので、療育手帳の申請をお悩みの方がいらっしゃれば、是非とも将来のために申請を行ってください。

それでは本日は以上となります。

筆者:ねこ忍者
東京在住
生活保護法の研究をしています。
昨年に社会保障関係のNPOを設立し、日々奮闘しております。
生活保護制度について考え、皆さんの役に立てる記事の更新に努めます。

 

 

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